3月、アウトドア好きの女性のために建てられたシェアハウスのオープニングパーティでケータリングの依頼を受けた。
ただ料理を出すだけでは面白くないと、20種類のレタス苗で机の上を畑にし、その場でオリーブオイルと塩胡椒を混ぜてサラダを作った。
5月には8種類のミント苗から好みの香りを見つけてもらい、その場で摘んでフレッシュミントのモヒートが飲める一夜限りバーを開いた。面白かったのは、どちらも皆、口々に何を選ぼうかと悩んでは、友人と盛り上がる光景を見せてくれたこと。
こういう場面を目の当たりにすると、食事のあり方は人それぞれ、本当は多様なのだと思わされる。純粋に種類が多いこと。それはきっと食べる人に想像力を膨らませ、ワクワクさせるのだろう。
スーパーマーケットではトマトが二種類しか売られていなくても、Farmer’sMarketには90種類のトマトを育てている作り手がいるのも事実。黄、紫、白、ひょうたん型のトマトなどは見ていても楽しいし、食べても楽しい。
また野菜のありのままの姿を見れることも、畑や作り手と繋がっていることで楽しいこと。根っこにどっさりと付いた落花生、長くしっかりとした茎の先にできたトウモロコシ、製品としてだけ売られている野菜とは大きく異なるこの姿は畑の風景を連想させる。
流通の都合で手に届かなくなったものを作り手と直接繋がることで取り戻す。そんな少しの変化で普段の食卓もガラッと変わるはずなのではないかと思う。畑に囲まれた食卓で採れたての野菜を料理する。そんな最高に贅沢な食事をこの街に出現させよう。